アメリカのマンガ事情をちょこっと解説
と、タイトルでものすごい煽ってみたものの、このポスター
偽物です(笑)
マーベルコミックファンの方は興奮したことかと思いますが、このような企画はありません笑
というか、実は企画しようにも企画できないんですねえ。
企画できないとはどういうことなのか。説明する前に、まずはアメリカのコミック事情から見ていきましょう。
ここ何年かの間で、日本でも「アメコミ」が流行っているように思いますが、そもそもアメリカのマンガ業界というのは日本のそれとは大きく異なります。
例えば作者。日本では「サザエさん」といえば「長谷川町子センセイ」の作品ですし、「ONE PIECE」といえば「尾田栄一郎センセイ」です。「ゴルゴ13」は「さいとうたかをセンセイ」で、「うる星やつら」は「高橋留美子センセイ」で、「20世紀少年」といえば「浦沢直樹センセイ」と、あげればキリがないですが、ようするに。
ひとつの作品は固有の作者によって連載されるわけです。
というか、これが普通のことだと思いますよね。僕たち日本人にしたら。
でもアメコミは違うんですねえ。
ひとくちに「バットマン」といっても「ボブ・ケーン」や「ビル・フィンガー」、「フランク・ミラー」「グラント・モリソン」など、実に多くの作者がいるんですね。
しかも作者によって設定が微妙に異なったりと、多彩なバットマンが展開されるわけです。
それから連載の形態も違います。
日本では、まず集英社やら小学館やら講談社といった出版社が存在し、各社が、例えば集英社なら「少年ジャンプ」、小学館なら「少年サンデー」、講談社なら「モーニング」というようにマンガ雑誌を発行しています。
これらのマンガ雑誌には、例えば「ジャンプ」であれば「ONE PIECE」や「黒子のバスケ、「HUNTER×HUNTER」のように、いくつかの作品が同時に掲載されていて、ぶ厚い雑誌を構成しているわけです。
でもアメコミは違うんですねえ。
アメコミ業界にはおおまかにいえば二つの出版社しかありません。というか、日本で知られているアメコミはだいたいどちらかの出版社のキャラクターなんです。どこかというと……。
そうです。マーベル・コミック社とDCコミック社です。
アイアンマン、マイティ・ソー、キャプテン・アメリカ、ハルク、X-MEN、スパイダーマンなどはマーベルのキャラクターです。ちなみに 今年続編が公開され話題になったキック・アスは、マーベル傘下のアイコン・コミックスから出版されています。
一方、DCにはバットマン、スーパーマン、グリーン・ランタン、フラッシュ、グリーン・アローなどのヒーローが在籍しています。ウォッチメンやコンスタンティンもDCのキャラクターです。
これらがいわゆるアメコミ二大出版社と呼ばれているものです。
ちなみに、僕が今次にヒットを飛ばすのではないかと目をつけているのがダークホースコミックスで、300やヘルボーイなどはこの出版社のキャラクターです。
他にもいくつか会社があるのですが、これらの出版社は日本のように分厚いマンガ雑誌を出版したりしないんです。
どうするかというと、作品ごとに、毎月32ページのリーフと呼ばれる冊子を発行するんですね。
これがバットマンのスーパーマンのリーフ。1ドルから2ドルくらいの価格で売っています。
と、このように、日本とアメリカではマンガ業界の事情も大きく違うんですねえ。
では、日本のマンガにはなかなかないけれど、アメコミにはあるメリットはどんなものかというと、クロスオーバーができる!ということではないでしょうか。
クロスオーバーといいますのは、簡単にいうとキャラ同士のコラボ、といったところでしょうか。
スーパーマンとバットマンが、アイアンマンとソーが共闘したり、あるいはバットマンがシネストロ(グリーン・ランタンのヴィラン)と闘ったり、ということが可能なんですね。
例えるなら、「ルフィと黒子と両津がフリーザと戦う」みたいな展開が可能なんですよ笑
これは作者が固定化されていない。というのが大きく影響しているでしょう。
日本だとどうしても「俺が考えたキャラクターを、安易に他の漫画家に描かれたくない」なんてこともあるでしょうしね。
そして、このクロスオーバーを大々的に打ち出したのがマーベルのアベンジャーズであり、DCのジャスティスリーグなわけです。
さあここでようやく、冒頭で紹介したマーベルヒーロー全員集合が出来ないのかを説明できます。
同じ出版社のキャラクターならマンガの中でクロスオーバー出来るんだから実写化も同じでしょ?と思うかもしれませんが、そうはいかんのです。
なぜなら、映画化の権利をマーベルは別の会社に売ってしまっているからです。
マンガの中で共演させる分には、マンガ化の権利はマーベルが持っているのでなんら困らないのですが、映画化の権利はキャラクターごとにバラバラなので、共演がNGなんですねえ。
ではなんでアベンジャーズって映画は作れたのかというと、アベンジャーズに登場するアイアンマンやソーやキャプテン・アメリカやハルクの映画化する権利を、パラマウント社がまとめて持っていたからなんです。
逆にいうと、20世紀FOXが実写化の権利を持っているX-MENや、コロンビアが権利を持っているスパイダーマンは、映画の中ではアベンジャーズと共演できないということになっているんです。
こういう非常に大人な理由から、冒頭のポスターのような企画は不可能ということになってるんですね。
ちなみにDCコミック社のキャラの映画化権はすべてワーナーが持っているので、バットマンやスーパーマンやワンダーウーマンが集まって、ジャスティスリーグの映画を作ることが可能な状況です。
事実、現在ワーナーはDCキャラクター総出演のジャスティスリーグを映画化すると発表しており、2016年には公開予定とのこと。
これに関連してフラッシュの映画化や、グリーンアローのドラマ化なども進んでいますので、今から非常に楽しみなわけです。
ということで、日本とアメリカのマンガ業界事情について、ほんのちょっとだけ解説しました!
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